出産後に骨盤や腰になんとなく違和感を感じている人も多いのではないかと思います。
たとえば、
「骨盤のあたりがなんだか引っかかる感じがする」
「仰向けに寝る時、昔は感じなかった違和感を骨盤あたりに感じる」
「骨盤が広がったまま戻らなくなっている気がする」
「骨盤だけでなく、なんだか腰のあたりも重い感じで痛い感じ」
などです。
出産の過程から考えると、それは気のせいではないかもしれません。
出産をきっかけに骨盤がゆがむ可能性は十分にあります。
そして、骨盤がゆがむことにより、腰痛をはじめさまざまな不調症状が引き起こされる可能性が高くなります。
なぜなら、骨盤と腰、そして全身はつながっているからです。
家の床が傾けば柱や屋根に影響が及ぶように、骨盤がゆがめば腰にも全身にも影響が及びます。
つまり、骨盤のゆがみと腰痛はある意味セットであるといえるかもしれません。
出産をきっかけに骨盤がゆがむ。
その理由を知ることで、骨盤の違和感だけでなく腰痛や産後太り知らずになれるかもしれません。
今回は、骨盤のゆがみ、骨盤について、出産後に骨盤に違和感を感じる原因、などについて説明してみたいと思います。
体について知っていくことで、心身ともに気持ちのいい世界が広がっていきますように。
まずは、骨盤のゆがみについてです。
◆出産は、骨盤の違和感や骨盤がゆがむ原因の一つ
「骨盤がゆがんでいる」
ということを耳にする人は多いかもしれません。
それでは、
「今の自分の骨盤はゆがんでいるのか?」
「骨盤がゆがむとはどういうことなのか?」
「骨盤がゆがんでいるとどういう問題が起こるのか?」
などについて知っているでしょうか。
骨盤を含め、体がゆがむ原因は人それぞれです。
たとえば、普段の姿勢、鞄の持ち方、長時間のパソコン操作や運転など、あらゆることが体のゆがむ原因になりえます。
そして、出産も体がゆがむ原因の一つです。
出産により「ゆがむ」という意味では、お母さんも、生まれてきた赤ちゃんも、ともにその可能性を秘めていますが、今回は出産によるお母さんの体がゆがむ原因について知るための内容です。
◆骨盤のゆがみを放置すると、全身の不調へつながる可能性が高まる
骨盤をはじめ、体のあらゆる部分がゆがむ原因は人によりさまざまですが、出産は確実に骨盤に影響を与えます。
◆妊娠前に骨盤のゆがみは改善しておいた方がいい理由
子宮や卵巣の環境をつくっている骨盤部の状態は、妊娠、出産にとってとても大切です。
特に骨盤部は、妊娠、出産の過程で母体内の胎児を育てていく場所としての大切な役割があります。
当然のことですが、骨盤部の中には、妊娠していない場合でも子宮や卵巣など妊娠や出産にとって重要な臓器が収まっています。
そして、骨盤部の状態はこれらの臓器(子宮や卵巣など)の働きに影響を与えます。
骨盤にゆがみがない状態、つまり、子宮や卵巣が正常に働ける状態であればあるほど、着床し、妊娠、出産へとつながる可能性が高まります。
逆に、骨盤がゆがむことで子宮や卵巣の環境に悪影響を与えます。
このような理由から、骨盤のゆがみは生理痛や妊娠しづらい原因の一つになりえるといえます。
このように、体の働きのことを考えると、出産後ではなくできれば妊娠する前から骨盤を含めた全身のゆがみを改善しておくことをおすすめします。
また、現実的な面から考えても、妊娠・出産前から体の状態を整えておくほうが、時間的にも、体的にも色々な面で楽なのではないかとも思います。
◆骨盤について知っていますか?
骨盤は、妊娠や出産だけでなく、他にも人の体にとってとても大切な働きをしている臓器でもあります。
胸に心臓があるように、腰から骨盤にかけては、腸や子宮、膀胱など、多くの体にとって重要な臓器が収まっています。(リンパ、体性神経、自律神経などももちろんあります)
そして、それらの臓器は、栄養の吸収や老廃物の回収、腸内細菌のすみか、免疫機構としての働きなど、人が生きる上でとても重要な働きをしています。
骨盤にそんな重要な臓器があるなんて知っていましたか?
そして、そんな重要な臓器が収まっている骨盤について詳しく知っていますか?
私は全く知りませんでした。
「骨盤が歪んでいるから私のズボンの裾の長さは左右差があるみたい。だから、裾のお直しは左右の長さを変えてお願いしないと、片方だけ引きずっちゃうんだよなぁ。」
程度の、知識ともいえないような知識しか昔の私にはありませんでした。
当然、いわゆる「骨盤がゆがむ」ことが体にとってどれほど問題を引き起こす可能性を高めてしまうのかなんて全く知りませんでした。
「骨盤がゆがむ」理由は人によりさまざまですが、出産もその原因の一つになりえます。
その理由を理解するためには骨盤について知ることが大切です。
◆骨盤について
骨盤、と一言で言っていますが、実際の骨盤は一つの塊として存在しているわけではありません。
骨盤は大きく分けて3つの骨から構成されています。
一つは、聞いたことがある人がいるかも知れませんが、「仙骨(せんこつ)」で、あとの2つは、仙骨の左右にある「寛骨(かんこつ)」です。
仙骨は大雑把に言うと三角形の形をしており、腰の下にあり、神経が通っています。
寛骨は、仙骨の左右にある、ぞうの耳のような形をした2つの骨です。
これらが骨盤を形作り、その中に子宮や卵巣などが収まっています。
◆骨盤の働きについて
骨盤の中にはさまざまな臓器が存在し、それぞれが体にとって重要な働きをしています。
たとえば、外部からの病原体などを排除する免疫の働きをしたり、体内への栄養吸収や不要になった老廃物を選別し排出したりする働きをする腸や膀胱などの臓器があります。
特に、女性には子宮や卵巣という、妊娠から出産においてとても重要な働きをする臓器があります。
慢性的に骨盤が歪むことで、これら骨盤内の臓器の働きに影響が出る可能性が高まります。
その結果、たとえば生理痛の原因になったり、子宮や卵巣の働きの低下により着床しづらくなってしまうという結果につながってしまう可能性もあります。
他にも、自律神経系の不調症状、足の機能低下による不調症状、むくみが現れる、などのさまざまな不調症状が生じる可能性もあります。
◆出産過程における胎児と骨盤の関係について
出産時、胎児は子宮から産道を通って外の世界に出てきます。
胎児にとってその道は単調ではなく、圧迫されながら、体の形を変えながら、体を回転させながら、複雑な過程を経て、やっと外の世界へ出てきます。
この過程での母体内での圧迫は、胎児が受けるだけでなく、同時に母体も圧迫を受けています。
また、母体は胎児が外の世界へ出てくるために骨盤の形を変えることでそれをサポートとしています。
骨盤が動くことで、胎児が外へ出てきやすい形をつくっています。
◆出産後に骨盤に違和感を感じる原因
ここまでは、骨盤のゆがみ、骨盤について、骨盤部の臓器、などについて述べてきました。これをもとにすることで、出産の過程が骨盤に影響を与える理由が見えやすくなります。
まず、妊娠した女性の体は、妊娠期間中はリラキシンというホルモンを分泌しています。リラキシンの働きにより、子宮の筋肉や骨盤の靭帯をゆるめて妊娠・出産しやすい体に変えています。
リラキシンの働きにより、子宮は胎児の成長にともない大きくなり、出産時には産道が広がりやすくなることで胎児が外の世界に出てくることをサポートしてくれます。
つまり、
- 妊娠期間中は骨盤(仙骨・寛骨)の靭帯がゆるくなっている。
- 特に出産時には、骨盤が動くことが胎児が外に出てくるために大切な働きのひとつである。
ということから、出産後は、骨盤が出産時のねじれた状態(仙骨・寛骨のねじれ)を保ってしまっている可能性があり、それが違和感や痛みへとつながっている可能性があります。
出産過程において骨盤が動かなければ胎児は産道を通って外の世界に出てくることができません。ですから、出産時に骨盤がゆがむ(ねじれる)ことは体にとって必要なことなのです。
問題は、出産後に骨盤がゆがんだままもとに戻らなかった場合です。
◆出産で骨盤の形が変形すること自体は問題ではない
出産後しばらくするとリラキシンの分泌も低下していきますので、自然な正しい姿勢を維持できれば、自然に問題なく骨盤はしまっていきます。
また、不自然な姿勢をしてしまってもすぐに修正すれば問題はありません。
しかし、出産後に不自然な姿勢をこまめに修正することなく習慣になってしまうことで、骨盤も不自然な状態でしまっていきます。
出産前後は、全身の靭帯がゆるくなっているので、体はゆがみやすい状態になっています。しかし、逆にいえば、今までゆがんでいた体を、自然で良い姿勢に修正する良い機会ともいえます。
出産後に骨盤に違和感を感じている場合は、こまめに体のバランスを修正するなど早めの対策が大切です。
◆骨盤のゆがみは慢性的な不調の原因になるかもしれない
骨盤に限らずですが、体のゆがみは原因不明の慢性的な不調の原因になりえます。
すべての人がそうだとは言えませんが、少なくとも私自身はそうでした。
かつての私自身は、今思えばびっくりするくらい骨盤や背骨、首、肩、手、足など、全身のあらゆるところがゆがんでいました。
腰痛はもちろん、顔が前方に突き出て鳥のようでしたし、首を反って空を見上げることができませんでしたし、歩く時にペタペタ足音を立てながら歩いていたりしました。
同時に、立っていられないほどのひどい生理痛や、毎日体が重だるく、食後毎回すぐにお腹が下る、など、他にも数えきれないほどの病気ではない慢性的な不調で悩んでいました。
この状態からなんとか抜け出したいと色々調べていくうちに、今の自分の体のゆがみが原因不明の不調症状の原因かもれない、という考えに至りました。
しかし、なぜゆがむのか、なぜゆがむことで不調症状が引き起こされているのか、ということを当時の私は何一つわかりませんでした。
しかし、体について学ぶことで、骨盤をはじめ、慢性的に体がゆがみ続けてしまうことで不調症状が引き起こされてしまう可能性が高まるのは当然である、ということを理解しました。
今回は、出産という視点を中心に、骨盤のゆがみや違和感・痛みの原因について簡単に説明させていただきました。
この内容が、体の理解につながり、あなたの骨盤のゆがみや慢性不調の改善へのきっかけになりましたら幸いです。
◆自分でできる骨盤のゆがみを改善する方法
体がゆがむ原因は人によりさまざまなので、これだけをやればいいというものはないのですが、一番万能な方法だと思うのは、
・一日の中で、気づいたときだけでもいいので、正しい姿勢をする
ということです。
時間的にもなかなか難しいことだとは思いますが、一日の中で数分だけでも、体に正しい状態を思い出させることは大切です。
もしも正しい姿勢をすることが難しければ、
- おしりとお腹の筋肉を引き締めながら、
- 背中をそらないように、
- あごを引いて、
- 1〜3の状態をキープしながら真上に伸びをする、
のもいいかもしれません。
簡単すぎてどうなのかと思うかもしてませんが、意外にこれを「正しく続ける」ことができなかったりします。
これらの積み重ねにより、多少なりとも日々の体の修正はできるのではないかと思います。
出産後の忙しい中、そんな時間もないという人もいると思います。
そんな場合は、
- 日頃の姿勢に気をつける意識
- 意識的に姿勢を自然ないい状態に維持する意識
これらの「意識」をもつだけでも、意識さえしない場合よりははるかに効果があると思います。
※実際に今の自分の姿勢はどうなのかを知りたい方に向けて、姿勢のチェックもおこなっております。
<体の基礎知識>
【産後の骨盤・腰】痛みや違和感を感じる原因
【生理周期について】月経、排卵やその兆候、月経前症候群(PMS)
からだと生体防御機構(自然免疫と獲得免疫)
からだ 生体防御機構(免疫とは)
からだ 血液
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